次世代のモータースポーツとして注目を集めている「ドローンレース」。
先日、北海道の由仁町で大会が開かれました。極限のスピードを競うレースに参戦した女子高校生レーサーを追いました。
F1さながらのモーター音を響かせながら、一瞬で目の前を通り過ぎていくドローン。
「どこいった?ぜんぜんわからん、うそだろ」(カメラマン)
カメラで追うのも、やっと!
カメラマンも思わず笑ってしまうほどの速さで障害物の間をすり抜けていきます。
操縦するのは、佐藤姫夏さん16歳、高校2年生です。
2023年、全国各地で開かれたドローンレースのリーグ戦で、年間女性第1位を獲得。日本最速女子となりました。
ドローンレースでは専用のゴーグルを着用し、映像を見ながらコントローラーを操作してコースを飛行します。
「カメラの視点で操縦していると、自分自身が空に飛んでいるような感覚がして爽快感がある感じ」(佐藤姫夏さん)
父・茂貴さんの影響で幼い頃からドローンに興味を持った姫夏さん。小学5年生の時から本格的に競技に参加するようになりました。
「なんか違うような気がする」(姫夏さん)
「角度が違うから。やっぱオーバーだから外に当たってるじゃん。だから僕が言っているところでミスる」(父 茂貴さん)
「うん」(姫夏さん)
「(普段は)パイロットとか思わないし、娘と趣味でやっているような感じ。大会に行くと僕でも信じられないような集中力を出して、レースで勝ってくる。とんでもない子に育った」(父 茂貴さん)
毎週末は、茂貴さんやほかの選手と一緒に、早朝から日没まで練習に励みます。
「(やはり姫夏さんは速い?)バカっ速い。一緒に飛んでいてもあっという間に何回も抜かされるので、別次元」(練習仲間)
普段は、友人とのおしゃべりが好きな普通の女子高校生。
ただドローンレースは珍しい競技のため、なかなか友人にも話せなかったといいます。
「(姫夏さんが)大会に出ることを知ったのは最近。ドローンをやっているイメージが全然なかった」(友人)
「(姫夏さんがドローンを飛ばす)動画を見たけど、普段と違ってギャップがあった」(友人)
「生徒はそれぞれ自分のやりたいことをやっているが、姫夏さんが一つのことを極めることによって周りへの影響も大きく、姫夏さんが頑張っているから自分も頑張ろうと良い影響になっている」(北海道札幌稲雲高校 坂本浩哉 校長)
シーズン中はドローンのことに多くの時間を費やすという姫夏さん。
レースで使用するドローンは、レーサー自らが組み立てるのが主流です。
モーターやフライトコントローラーなど、部品1つ1つに「速くなりたい」という姫夏さんの思いを込めます。
6月16日、由仁町で開かれた全国大会。9歳から63歳までの男女52人が参加しました。
姫夏さんが出場するのは、日本トップクラスのレーサー13人が競う最上級のプロクラス。姫夏さんは唯一の女性です。
試合では決められたコースでタイムを競い、上位9人に入ると準決勝進出です。
「きょう風が強くて、旗のなびく方向が変わってくるので、それを考えて飛ばしていきたい」(姫夏さん)
「佐藤選手、6周目突入。残り時間20秒で通過。佐藤選手もゴール!」(実況)
最高時速は100キロ以上、0.01秒を競う極限のスピードバトルです。
「第8位、佐藤姫夏選手」
「ギリギリでしたね。心臓バクバクでした。自分の結果より緊張します」(父 茂貴さん)
姫夏さん、見事に予選を勝ち抜き準決勝へ。
「追いかけてる!追いかけてる!トップを走るのは…いや?佐藤選手1位!さあ、どっちだどっちだ~?佐藤選手、電池切れか」(実況)
結果は惜しくも準決勝敗退、8位入賞です。
「1周目、調子が良かったけれど、それ以降ミスが多かったので悔しい」(佐藤姫夏さん)(佐藤姫夏さん)
地元開催ということで、姫夏さんの母親たちも駆けつけていました。
「競技の世界なので、大変だなと思って見ている。頑張っていたので良かった」(母 直子さん)
「見てくれているだけで心強い」(佐藤姫夏さん)
2023年からプロクラスで戦うようになった姫夏さんの挑戦は、始まったばかり。
10月に中国で行われるドローンレース世界選手権には、日本代表選手として出場することが決まっています。
「世界戦では、女性1位を目指して頑張りたい」(佐藤姫夏さん)